現場を支える
──もうひとつのプロフェッショナル
現場技術者の業務は、品質・工程管理や安全確保、近隣対応など多岐にわたり、常に多忙を極めています。工事品質の追求に専念できる環境を整えるべく、現場に慣習として根付いていた業務をフラットな視点とITの力で効率化し、役割分担によって技術者の時間を創出する――そんな建設ディレクターとして活動を開始したリライフメンテホールディングスの2名に話を聞きました。
対談者紹介
-

リライフメンテホールディングス株式会社
建設ディレクター安田さん
-

リライフメンテホールディングス株式会社
建設ディレクター庄司さん
リライフメンテホールディングスの建設ディレクターの役割
──リライフメンテホールディングスにおける建設ディレクターならではの役割や特徴は、どのような点にあると考えていますか?
安田さん:
会社によって求められる役割が異なるため一概に比較は難しいのですが、自ら現場の課題を発見し、業務の仕組みそのものをデザインし直すことが私たちの役割です。現場には「なんとなく時間がかかっている」「人によってやり方が違う」といった、明確に言語化・ルール化されていないやり方が多くあります。そうした輪郭がぼやけた業務を分解し、所要時間や頻度、テンプレートの有無といった観点で整理しながら、どこに無駄があるのかを明確にし、効率化の余地を追求します。その上で、ITツールや仕組みの導入も含めて改善策を提言し、現場業務そのものを変えていく――それが私たち建設ディレクターの役割だと考えています。
庄司さん:
現場と一体となって動き、現場に近い立場から専門的なサポートを行う役割だと感じています。リライフメンテホールディングスの建設ディレクターは、現場技術者と連携し、安全書類の作成や図面修正に加え、現場に足を運んで近隣へのパンフレット配布まで幅広く担っています。
効率化の余地を探索
──現場を観察する中で、「これは改善できる」と感じるポイントにはどんな共通点がありますか?
その直感を、どのようにデータや事実として整理し、改善の根拠に変えていったのでしょうか。
庄司さん:
改善できるポイントの共通点は、現場ごとに個別化されているけれど、共通化・集約ができる作業であることです。技術者は自身の現場に集中する一方、建設ディレクターは一人で複数の現場を並行して担当します。複数の現場を横断的に見ることで、どの現場でも発生している共通業務に気づくことができます。その気づきをもとに、システム導入によるDX化や、AIを活用した時間短縮の余地がないかを試行錯誤しています。個人の経験に頼っていた部分を共通ルールに置き換えることで、最小限の工数で成果を出せる仕組みを作っていきます。

具体的な改善事例
──自身が発見した効率化の余地に対し、改善につながった具体的なエピソードを教えてください。
安田さん:
現場ごとに工程や打合せ予定の管理方法が異なっており、情報共有に時間がかかっている点に課題を感じていました。特に、誰がいつ何を対応するのかが不明瞭でコミュニケーションエラーが発生しやすく、全体を俯瞰できる仕組みが必要だと考えました。そこで、現場ごとの予定やタスクを一元管理できるカレンダーツールを作成し、関係者全員が同じ情報を確認できる形を設計しました。現在はテスト運用の段階ですが、確認のやり取りにかかる時間の削減や、タスクの抜け漏れ防止につながると考えています。実運用を通じて改善を重ね、他の現場にも展開できる仕組みにしていきます。
庄司さん:
各現場で担当者がそれぞれWeb情報を検索しながら会議資料を準備していることに気づき、AIツールを活用した資料作成を導入しました。その結果、資料準備にかかる時間が大幅に削減され、他業務に充てる余裕が生まれています。また、各自が個別に保有していたAutoCADライセンスについては、運用ルールを整理して共有化を図ることで、コスト削減にもつながっています。
建設ディレクターとしての手応え
──建設ディレクターが従来の業務のやり方や仕組みの効率化を推進することで、現場技術者が「工事品質の追求」「安全確保」といった彼らにしかできない業務に集中できていると感じますか?
庄司さん:
試行錯誤を重ねながら業務の効率化や仕組みの見直しを進めることで、彼らにしかできない業務に向き合う時間を少しずつ確保できるようになってきました。まだ道半ばではありますが、建設ディレクターの立場から現場に根付いていた習慣に目を向け、課題を整理し改善につなげることで、現場のみなさんから相談や意見をもらえる関係も生まれてきました。そうした積み重ねを通じて、現場の負担軽減や業務環境の改善に貢献できているという手応えを着実に感じています。
個人の経験値を組織値とするために
──建設ディレクターとして多様な現場に関わる中で得られた知見をグループに還元していくために、どういったことが必要だと考えていますか?
安田さん:
私たちがこれまで学び得てきた知見を、どの現場でも再現できる形にすることが重要だと思います。そのために、業務の進め方や改善事例をナレッジとして蓄積し、「なぜうまくいったのか」「どの条件で再現できるのか」という観点で整理することで、グループ全体の標準として展開できる形にしたいと思っています。私たちのグループは、様々な事業領域で強みを有する事業会社で構成されています。現場ごとに違いはあるものの、共通化できる部分を抽出し、誰が対応しても一定の成果が出せる状態をつくることが次のステップです。さらに将来的には、各社の受注状況による業務量の変動に応じて、ホールディングス側の建設ディレクターが横断的に支援できる体制の構築を目指しています。特定の現場や個人に負荷が偏らない、持続可能な支援の仕組みを整えていくことが、私たちの目標です。

──編集後記
リライフメンテホールディングスの建設ディレクターは、ITを活用して現場の仕組みを変革していくパートナーです。現場技術者の専門性を必要とする業務にしっかり向き合える時間を生み出すために、彼らに寄り添いながら業務のあり方そのものを見直していく建設ディレクターの取り組みは、当社グループが大切にしてきた「人」にしかできない仕事、自分にしかできない仕事をする。「人」と「人」とが互いに助け合って仕事をする。という考え方に直結するものです。積み重ねる知見をグループ全体に広げ、より良い現場づくりへつなげていくことが期待されます。