図面の世界から現場の最前線へ
──現場へ立つことで見つけた“私のやりがい”
建設図面と向き合う静かな日々から、風が吹き抜ける現場の世界へ。
前職の設計事務所で、建造物の“未来の姿”を描き続けていた小島由奈さん。
しかしいつしか、図面の中ではなく、“本物の現場をこの目で見たい”という思いが大きくなっていった。
その直感に背中を押されるように、彼女はインフラ再生の最前線へと飛び込んだ。
今ではinfratの施工技術補佐として、現場の中心で日々走り回っている。
そんな小島さんに、仕事のリアル、やりがい、そしてinfratという会社の魅力を聞いた。
対談者紹介
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株式会社infrat
工事本部小島 由奈氏(以下、小島氏)
Summary
現場での1日──“朝の空気”が今日のスイッチになる
──小島さんの1日は、午前8時00分の打合せから始まる。
8時半から朝礼、現場全体の意識を一気に“仕事モード”へ切り替える大事な時間。
小島氏:
朝礼ではKY(危険予知)をみんなで共有して、その日の連絡事項や指示を伝えています。現場が動き始めると、私は工事写真を撮ったり、作業の流れを確認したり、役所に書類を受け取りに行ったりと、午前中はバタバタしつつもあっという間に過ぎていきます。お昼はお弁当を食べたり、コンビニに行ったり、その日の気分で自由に過ごしてリセットする時間になっています。午後はデスクに戻って書類の作成や確認、撮影した写真の整理、日報の作成など、現場がスムーズに回るように進めていく作業が中心です。夕方になると職人さんが戻ってくるので、1日の作業を一緒に振り返りながら、翌日へ向けた改善点や要望を整理します。片付けまで終わると18時頃。業務の流れが整っているので、無理なく一日を終えられています。
仕事内容は“縁の下の力持ち” 現場が回るための支え役
──施工技術補佐としての仕事は多岐にわたり、裏方の地道な支えが欠かせない。
小島氏:
図面の修正や、面積表と数字が整合しているかの確認業務を任されています。しっかりやることで現場は円滑に進めやすくなりますし、工事が終わったあとにも資料として残る大事な仕事だと感じています。日報は時系列でわかりやすくまとめて、写真も添付し、後から見ても作業の流れがすぐに把握できるようにしています。道路使用許可の書類も担当していて、警察署に提出するために必要な情報をそろえて編集しています。あとは現場仕事です。日々報告に使用する写真を撮影するためだけでなく、現場で危険な所がないかを確認し、いろいろな業種の職長とコミュニケーションをとりながら対応しています。どれも現場の円滑な業務と安全を守るためにとても大切な仕事です。この現場に来て、初めて気づいたことがあります。それは、自分が意外と「物覚えが良い」ということ。最近では、数日前の何気ないやり取りを「あの一件、どうなりました?」とリマインドするのが、密かな楽しみになっています。単に記憶力が良いだけでなく、それを周囲のサポートに活かせるのが嬉しくて、その積み重ねが現場の調和にもつながっていると感じています。

初めて知る専門用語たち──でも覚えるのは好き
──未経験で飛び込んだ当初は、専門用語に戸惑うことも多かった。
小島氏:
現場では専門用語がたくさん飛び交うので、最初は正直、戸惑うことも多かったです。
メジャーだけでもスケール・コンベックス・巻き尺と呼び方が違ったり、“安全ブロック”という言葉も、最初は何のことだか分からなかったり。高所作業の墜落防止器具だと理解してからは、安全に関わる言葉は特に優先して覚えるようにしました。分からない言葉は、その場で先輩や発言した本人に素直に聞くようにしています。「知らないことを聞くのは恥ずかしいことじゃない」と教えてもらえたので、安心して質問できるようになりました。そうやって少しずつ整理していったことで、現場での会話の意図も徐々に掴めるようになってきました。まだまだ覚えることは多いですが、その積み重ねが確実に仕事の精度につながっていると実感しています。
“見てみたい” その気持ちだけで飛び込んだ建設の世界
──転職の一番のきっかけは、ふと湧き上がった純粋な好奇心だった。
小島氏:
設計の仕事も楽しかったです。でも、データを作るだけの日々を続けていると、その先にある“本物”を知らないままでいいのかなって、だんだん思うようになってきたんです。“もっと知りたい”という気持ちが大きくなって、最終的には「よし、現場に行こう」って自分で決めました。周りからは心配の声もありましたが、それでも「見てみたい」という気持ちの方が強かったです。実際に飛び込んでみた現場は、良い意味でギャップだらけでした。日本中を旅するみたいに現場を巡りながら、「ここをもっと良くしたい」と思う瞬間に出会ったり、職人さんたちの飾らない笑顔に触れたり。作業の合間のちょっとした声かけが、こんなにも心をほぐしてくれるものなんだ、と驚きました。気の合う仲間や気さくな上司に見守られながら、今では自分も現場の一部になれていると感じています。図面だけでは絶対にわからなかった“チームで働く心地よさ”に触れ、「ここに来て本当に良かった」と心から思っています。支えてくれる人ばかりだから、私もちゃんと返していきたい。大変な時こそ支え合うinfratは“チームで働く心地よさを教えてくれた“会社です。

鉄塔、橋、建物改装──スケールの大きい世界を知った
──山間部にそびえる大型鉄塔の調査、有名な橋のメンテナンス、大きな建物の改装工事、九州の鉄塔塗り替え現場への2か月間にも及ぶ長期常駐等
入社後は、スケールも内容もまったく異なる現場を幅広く経験してきた。
小島氏:
入社後は、規模も内容も全く違う現場をたくさん経験してきました。
大きな鉄塔の調査や有名な橋のメンテナンス、大規模な建物の改装工事、九州での長期常駐など、本当に幅広い現場を見てきました。古くなった建造物をメンテナンスして、また誰かの日常を支えていく。その一瞬に立ち会えることに、とても大きなやりがいを感じています。山の現場では道を間違えて登ったり降りたり…なんてことも何度もありましたし、筋肉痛や砂まみれになるような過酷さもあります。でも、それでも続けられたのは、一緒に働く仲間の存在が大きいです。冗談で和ませてくれたり、さりげなく気遣ってくれたり。「この人たちとなら大丈夫」と思える安心感に支えられて、どんな場面も乗り越えてこられました。
女性が現場で働く上での実情
──現場の環境面で困ることはほとんどなかったという。
小島氏:
現場で働くことに不安はありましたが、実際には環境がとても整っていて驚きました。
東京都の案件では、女性の配属に合わせた更衣室や清潔なトイレの設置が義務付けられていて、設備面で困ることはほとんどありません。それ以上に心強いのは、会社のサポート体制です。社員一人ひとりの特性や生活スタイルに合わせて仕事を調整してくれるので、性別を意識しすぎることなく、一人のプロフェッショナルとして現場に向き合えています。また、現場の環境づくりも私たちの大事な仕事のひとつです。夏は冷たい飲み物やスポットクーラー、冬は防寒器具や温かい休憩場所を用意したりと、誰もが安心して働ける環境づくりに気を配っています。周囲のサポートと自分の取り組みが重なり合って、今日も現場に立てているんだと感じています。
「現場って男性ばかりで話しづらそう」そんなイメージを持つ人も多い
──むしろ“女性であることが強みになる瞬間が多い”と話す小島さん
彼女だからこそ気づけること、伝えられることが現場にはあった。
小島氏:
現場は男性が多い場所ですが、私が入ることで少し空気が柔らかくなることがあるようで、「また現場に来てほしい」と言ってもらえることもあります。近隣の方からも声をかけられることが多く、女性の存在が安心感につながる場面も感じています。大切にしているのは、直感的なコミュニケーションです。声のトーンやちょっとした表情の変化から「今日は少し疲れているのかな」と気づいたり、作業の合間に「お疲れさまです」と一言添えることで、そこから会話が広がることもあります。その積み重ねの中で、気づけば現場のムードメーカーのようなキャラクターになっていて、「話しやすい」と言われるたびに嬉しくなります。性別に関係なく、誰もが気持ちよく働ける現場をつくることにやりがいを感じています。

“人の良さ” がinfratの魅力──電話より、会いに行きたい
──小島さんの話を聞いていると、infratの“人の良さ”が何よりの魅力だということが伝わってくる。
小島氏:
infratの魅力は、やっぱり“人”だと思います。どの現場に行っても先輩や上司が「お疲れ!」って明るく声をかけてくれるんです。ああいう雰囲気って、やはり嬉しくなります。自然と私も笑顔になるし、現場に行くのが楽しみになります。だから電話で済む用事でも、できるだけ直接会いに行くようにしています。顔を見たほうが話の流れも早いし、相手の表情で状況が分かることもあるので。やっぱり“現場で話す”って大事だと思います。それに、上司の存在も大きいです。忘れられない言葉があって、「すべての責任は配置した俺にあるから、経験だと思って楽しんで来い」って言ってくれたんですけど、あのひと言にはすごく救われました。安心したし、“よし、やってみよう”って気持ちになれたんです。あのような言葉をかけられるのって、すごくかっこいいなって思いますし、いつか自分もそんなふうに後輩を支えられるようになりたいなって思っています。
将来の目標は、調和をつくる“現場監督” になること
──「いずれは自分でひとつの現場を指揮してみたい」という小島さん。
小島氏:
現場の意見にちゃんと耳を傾けながら、チームが同じ方向を向けるように調整できる、そんな現場監督になりたいです。現場って、いろんな個性の人が集まる場所ですけど、最終的には“チーム”で動くもの。その真ん中に立って、バランスを取りながら現場を回せる存在になりたいです。まとめ役というより、“みんなが動きやすくなる軸”みたいな立ち位置に近いのかもしれません。

一歩踏み出せずにいる女性へ──“飛び込んだら、居心地が良かった”
──最後に、建設の世界に興味がある女性へのメッセージをお願いした。
小島氏:
最初の一歩って、誰でも怖いと思うんです。でも、私は思い切って飛び込んでみたら、本当に居心地が良かったんです。建設現場って“きつい、汚い、危険”とかいろいろ言われがちですけど、実際に入ってみると、改善に一番真剣に向き合っている業界だと感じました。それに、周りのサポートもすごくしっかりしていて、女性だからやりにくいと感じたことはほとんどありませんでした。むしろ、女性が入ることで現場の雰囲気が良くなることもあって、役に立てている実感もあります。だから、「気になるけど不安で動けない」という人こそ、まず一度飛び込んでみてほしいです。思っているよりずっと働きやすくて、ちゃんと居場所がある。そのことは、私自身が一番実感しています。これからも、もっと良い現場づくりに力を尽くしたいと思っています。